第150章

動かぬアルファ

シルバー・パックの中央で、完璧な白い球体が神威を孕んで膨らんでいた。今宵は待ちに待った祝福の儀――群れの未来に、新たな希望が芽吹く聖なる夜明けである。

だが、何かが致命的に狂っていた。

アルファの隣にあるべきルナの座が、空のままだったのだ。

全ての狼がそれに気づいた。誰もが、指導者の存在よりも不在に目を奪われていた。

高い柱にぐるりと囲まれた儀礼の庭は、刻まれた紋が淡く揺らめいている。戦士たちは壁沿いに守りの列を作り、松明は夜風に煽られてぱちぱちと火花を散らした。月の花冠に編み込まれた花々が壇上を飾り、その中央にマーカスが立つ――拳を背で強く握り、肩を張り、支配と決意...

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